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事故例・失敗例:事例3
事故例・失敗例
>事例3 75kwカゴ形誘導電動機ステータコイル焼損事故
【定格】
全閉外扇形誘導電動機([ ]-6P-75kw-975rpm-3.3kv-50Hz-F種 1985年製造)
【経過】
H16-10
運転中、R相S相のヒューズ溶断によりトリップ。ヒューズ取替後通常どうり運転。(総始動回数約50回、総運転時間約42H)
再度運転中R相S相ヒューズ溶断によりトリップ。ヒューズ及び3Eリレー取替後運転。(総始動回数約4回)
再再度ヒューズ溶断によりトリップした為、ヒューズ取替して始動したところトリップ。
原因調査対策の為電動機を弊工場に搬入すると共に、中古機市場より代替機を購入して運転。
H16-11
代替機ステータコイル事故発生。(代替機約1ヶ月運転)
急遽当初の事故機を修理して運転。
H17-1
再度事故発生。(修理した事故機約1ヶ月運転)
【事故状況】
H16-10の1回目の事故状況
絶縁抵抗測定・・・2000MΩ以上
ターミナル間抵抗測定・・・U-V間:オープン、V-W間:オープン、W-U間:3.30Ω
U相は口出しケーブルからコイルに連なる口出し線が絶縁破壊し、V相は口出しケー ブルのゴム被覆端部で絶縁破壊し、芯線が溶断していました。
事故写真
事故スケッチ図
H16-11の代替機の事故状況
絶縁抵抗測定・・・0MΩ
ターミナル間抵抗測定・・・U-V、V-W、W-U間共に3.63Ωでバランス
V相の口出しコイルの上コイルが、スロット部で絶縁破壊していました。
事故写真
H17-1の2回目の事故状況
絶縁抵抗測定・・・2000MΩ以上
ターミナル間抵抗測定・・・U-V間:オープン、V-W間:3.09Ω、W-U間:オープン
U相は口出しコイルの口出し線が溶断、V相は口出しケーブルのゴム被覆端部で絶縁破壊していました。
事故写真
事故スケッチ図
【事故原因調査】
H16-10の1回目の事故について
コイル本体の調査
目視点検では異常ありませんでした。
コイル口出し線からのターミナル抵抗測定・・・3.32Ωでバランスしていました。
耐電圧試験・・・5.7kV※1 1分印加し異常ありませんでした。
※1(2E+1000)×0.75=5700V (JEC-2137の9.6項部分的な巻き替えを行った場合の耐電圧試験に依る)
口出しケーブルのゴム被覆端部の調査
V相ケーブルの事故部は、ゴム被覆のコイル側終端部でしたので、異常のなかったU相W相の同じ部位を絶縁を切開して調査しました。ゴム被覆の端部は通常斜めにカットしますが、本機は直角にカットされていました。従って、ゴム被覆切断時芯線を損傷させる危険性があると考え、当該部の芯線を詳細に点検しましたが異常ありませんでした。
結論
U相とV相の事故部が隣接していないこともあり、有力な事故原因が把握できませんでした。
H16-11の代替機の事故について
コイルの調査
目視点検では、事故部以外に異常ありませんでした。事故コイルを切り離し残りのコイルに対して耐電圧試験を行いました。5.7kV1分印加し異常ありませんでした。
結論
代替機を中古機市場より購入し、復旧が急がれていましたのでステータコイルの耐電圧試験をしないでお客様へ納入しました。従って事故コイルを含めて納入時ステータコイルの絶縁耐力がどの程度あったのか正確には分かりませんが、事故後の調査で事故コイルを切り離した残りのコイル耐電圧試験結果から、ほぼ問題なかったのではないかと推定されました。
H17-1の2回目の事故について
コイル本体の調査
目視点検では異常ありませんでした。
コイル口出し線からのターミナル間抵抗測定
3.10Ωでバランスしていました。
耐電圧試験
5.7kV 1分印加異常ありませんでした。
インパルス試験
1×40μSで10kV※2のインパルスを、相間対アース間に印加して異常ありませんでした。
※2(2E+1000)×0.75×√2*(3)×1.25※4 =10kV
※3 波高値
※4 瞬時係数
結論
事故状況は1回目の事故に酷似していました。コイル本体は対アース絶縁及びターン絶縁共異常なく、又、口出しケーブルや口出し線の事故部は、通常の事故と異なりお互いに離れた場所でした。従って事故原因は瞬間的な過電圧が、相間及び対アース間に繰り返し印加されていると推定しました。
運転状況
真空スイッチにて回路の開閉をしており、運転状況は寸動が多く比較的始動停止回数も多いとのことでした。
【推定事故原因】
1回目の事故と代替機の事故のとき、開閉サージが大きいことが事故原因の一つに考えられました。しかし真空スイッチの開閉サージ問題は、約30年前に解決されていたと認識していました。しかしメーカの取扱説明書を読むと図1のような記事が掲載され、寸動が多い場合はC-Rサプレッサの取り付けを推奨していました。お客様のお聞きしたところ、本機はもとより類似他機も同じメーカの真空スイッチを使用しているが、C-Rサプレッサは取り付けていなく、他機は今迄このようなトラブルは発生していないとのことでした。しかし1回目の事故、2回目の事故、代替機の事故共に、ステータコイルの入り口部分に集中していることから、真空スイッチから発生する開閉サージの過大が事故原因と推定します。
図1
【対策】
真空スイッチから発生する開閉サージのレベルを低減する為に、C-Rサージサプレッサを取付て頂きました。
【反省】
事故原因調査を始めた当初は、開閉サージが過大ではないかと疑いましたが、真空スイッチのサージ問題は約30年前に解決されているとばかり思っていた為、要因から外していました。この事が災いして、その後2回も同様な事故を発生して、 お客様にご迷惑をかけてしましました。また、メーカへの要望ですが、今回の事故は電動機のステータコイルの絶縁耐力は、異常と判断されるレベルまで低下していたとは思われません。やはり開閉サージが過大と推定します。開閉サージは接触器から電動機までの線路常数でも変化すると思われますが、サージ保護を「不要」と記載しないで「要」と記載された方がユーザのためになると思われます。即ち、メーカは電動機の許容サージ耐量をどの度あると想定されているのか分かりませんが、前述しましたように3kV級の電動機は10kV程度と考えられるからです。
【電動機のサージ耐量の規格】
メーカへの要望を出しましたので、規格はどうなっているか調査しました。日本にはありませんが、海外ではNEMAに詳しい規定があります。標準的には20.36.5 Surge Withstand Capability for Standard Machines に波頭長が0.1~0.2μSのときは2pu(per unit)、 波頭長が1.2μSより長いのときは4.5puとなっています。
1pu=√2/3×E (E・・・定格電圧)
これで計算すると、4.5puにして3.3kVの場合12kVになります。
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