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事故例・失敗例:事例4
事故例・失敗例
>事例4 始動補償器 [コンドルファー方式] の焼損事故
【定格】
180kW誘導電動機の始動盤に収納されているコンドルファー方式の始動補償器
[ ]-220kVA-6000V-50Hz-H種-65%タップ 2000年10月製造
【経過】
事故発生時期不明
1回目の焼損事故が発生し、メーカ製の同型器に置き換え
H17年11月
2回目の焼損事故発生
H18年1月
弊社にてコイル巻替修理 (修理報告書にて、事故原因は始動盤の内部接続やシーケンスにありそうなので、詳細調査することを推奨)
H18年4月
3回目の焼損事故発生、弊社にて始動盤を調査したところ、コンタクタの動作をコントロールしているタイマーが故障して、正常にシーケンスが動作せず。 (タイマーを新規取り替えて正常に動作することを確認)
【事故状況】
始動補償器の全体写真を写真1に示します。コイルは65%の中間タップが引き出されています。
始動補償器の分解状況を写真2~写真6に示します。三相ともコイルは中間タップを境にして、巻始め側コイルは内側に、巻終わり側コイルは外側に変形しています。これは中間タップを境にして、各々逆方向に大電流が流れたことを示しています。
事故はW相の巻始め側コイルの変形部分にてレアーショートしていました。
事故状況は2回目も3回目も大略同じ状況でした。
写真1 始動補償器外観
写真2 コイルの変形状況
写真3 各相コイルの変形状況
写真4 (W相) の焼損状況
写真5 事故部拡大
写真6 内側のコイルの変形状況
【事故原因調査】
始動盤の接続図を下記掲載図1に示します。リアクトルの巻始め側端子は各々X・Y・Z、中間タップはu・v・w、巻終わり側端子はU・V・Wとなっています。
下記掲載図2にリレーの接続図を示します。実際の始動を模擬して調査したところ、正常状態では#6コンタクタの切れる時間と#42コンタクタの入る時間には1秒の時間差があるはずですが、「2-1」のタイムリレーが故障していたため下記掲載図3のコンタクタの動作タイミングに示したように、#6コンタクタの切れる時間と#42コンタクタの入る時間が同時になっていました。
「2-1」のタイムリレーを新規のものに交換後、正常にコンタクタが動作することを確認しました。
【推定事故原因】
図2のリレー接続図では、#6のコンタクタが切れてから#42のコンタクタが入るようになっています。しかしコンタクタの主接点の入り切りのタイミングにはバラツキがあり、#6のコンタクタが切れない内に#42のコンタクタが入る瞬間が考えられます。その状況を簡単に表すと図4のようになります。
代表としてR相を考えます。#6コンタクタが閉じている状態で#42コンタクタが投入されると、u‐X間を一次巻線U‐u間を二次巻線と見做した単巻変圧器で、二次短絡を生じた形になります。即ち、U‐u間に短絡電流が流れると同時に、u‐X間にもU‐u間/u‐X間の巻線比の逆比の大電流が流れる事が考えられます。
上記2つの電流の流れる方向が中間タップを境に逆方向のため、リアクトルの変形状況が中間タップを境に巻始め側コイルと巻き終わり側コイルが開くように変形していたと考えられます。
【まとめ】
弊社が事故をお客様から相談されてから結局2回も事故を発生させてしまい大変ご迷惑をお掛けしました。リアクトルの変形状況から、もっと早い時点で今回の事象を具体的にお客様に対して説明できていればと悔やまれます。
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